「どうして」 06/02/15
六歳になる三男坊が、月を見つけた。
「あ、月!」
「本当だ。きれいだねえ、もうすぐ満月だから」
しばらくそのまま月をながめている三男坊。
「ねえ、どうして月は、『お月様』っていうの?」
子供は、いつもこんなふうに無邪気に、いきなり質問を投げ込んでくる。
「(む?)う~ん、どうしてだろうねえ(むむむむむ?)」
ちょうど信号が青にかわるところだったので、ちょっと焦った私。
適当に答えてしまった。
「きっと、たったひとつしかない、大切なものだから、丁寧に『お月様』って呼ぶんだね」
またちょっと考える三男坊。「じゃ、太陽は?」
「……。」
た、たしかに、太陽も、たったひとつしかない、大切なものだ。
なぜ、
月は『お月様』と、丁寧によぶのに
太陽を、『お太陽様』といわないのか。
月と太陽に、いったいどういう差があるというのか~。
すると、三男坊は、さらなる変化球を投げ込んできた。
「あっ、星も、『お星様』っていうよ。たったひとつじゃないよ、たくさんあるよ。億、千、ムリョー…ムリョー…」
「…無量大数?」
「それそれ」
「………。」
結局私は『にほんごであそぼ』大好き六歳児の頭を納得させられるだけの好回答を与えることができませんでした。(恥)
真夜中近くにひとりでお風呂に入りながら、私はまだしつこく考えていた。
どうして月は『お月様』で、星も『お星様』なのに、
太陽は、『お太陽様』ではないのだろう???
のぼせかけたころ、ふやけた頭が、ようやく気づいた。
おお、
『おてんとう様』っていう、素敵なことばがあるじゃないか~
ふらふらになりながら、脱衣所で、さらに気づいた。
なんだ。『お日様』だって、あるじゃないか~。
たたき起こして、三男坊にいってやりたかったけど、こらえました。
いわれそうだったから。
「ふうん。……じゃ、虹は?」
□ □ □ □ □ □ □ □
「どうして?」と子供にきかれたら、
まずとりあえず、
「う~ん、どうしてだろうねえ」と、おもむろに首をかしげて、疑問を共有してあげることにしている。
その間に、子供に間違いを指摘されない程度の答えを、いっしょうけんめい考える(汗)
「どうしてセロテープはと~め~なの」
「はるなつあきふゆ、どれがいちばんさいしょにはじまったの」
「(トムとジェリーをみたあとで)どうしてねこはねずみをたべるの」
「どうして30ふんっていわないで、30ぷんていうの?」
こっちが答えにさんざん悩んでいると、
たまに、
子供の方が先に、自分勝手な答えを言い出す場合がある。
子供たちがきわめて直感的に導き出した答えは、
われわれ大人が足元にも及ばないほど、きらきら輝く世界観を持っていたりする。
だから、子供とつきあうのは、やめられない。
(多少疲れることもあるが)
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Takumaさま。
たとえ「正答」でも、子供を納得させることができなければ、
意味がないので、むずかしいのです。
大切なのは、子供の知りたいという欲求を、どうやって解決してやるか。
子育て四人18年になりますが、まだまだ私は未熟です。
sigeさまこんにちわ
四歳児だともっとエネルギーがあるかもしれませんね。
かなわないよね~(笑)
投稿: まだむ | 2006.02.16 10:16
こんばんは、まだむさま。
私も幼い頃そんな質問疑問を親や祖父母に投げかけていたのかしら。
小さい子の発想は面白いですね。
私も近所の4歳児にやられています。むむぅ〜。
投稿: sige | 2006.02.15 20:52
虹は7色あるから、お虹さまとは言わないんでしょう。
セロハンテープが透明なのは、破れて元に戻す場所や、貼り付ける文字を隠さないようにするためでしょう。
「春夏秋冬」とあるように、春を一年の初めとして区切ったのが、日本人の文化ではないでしょうか。
猫がねずみを食べるのは、肉食動物の猫が、自分より身体が小さくて肉付きもある草食動物、ネズミが食べやすいと選んだからでしょう。
10分単位で区切る時間は「ぷん」ですね。
……真面目に答えてしまった(笑)
これでお子さん、納得してくれますでしょうか。
投稿: Takuma | 2006.02.15 19:46